【準備課題16】

【準備課題16】

これは実話です。ある印刷屋さんの社長さんから相談されました。「うちのデザイナーは色使いが汚いんだよなぁ〜」なぜだろう?・・・と。いろいろ聞いてみると、デザイン室の壁の色が、よく工場で使われている「うぐいす」でした。さて、この話から想定できる「汚い色になってしまう理由」は、何でしょう?また解決するためには、どうすればよいでしょうか?

※外科医の手術着は、基本的に「濃いうぐいす色」です。何故?


【解答16】

同じ色ばかり見続けていると網膜が疲労し、補色(反対色)の残像が浮かんでくる現象、「補色残像」が原因している。

有彩色では一般的に青と黄色、赤なら緑と、一番強くコントラストが出る、また補完し合う(補色調和)色の組み合わせを「補色」という。この補色効果で個々の色自体も際立ち合いよりいっそう目を引く効果を生むが、複数の補色を使いすぎると逆に効果は薄れてしまう。

手術を行う外科医の衣類が「濃いうぐいす色」である理由は、血液の色である赤を見続けるため、赤の補色である緑を目に取り入れ整えて、補色残像が出ないようバランスを取るため。牛乳パックの白を基調としたパッケージに青色を用いることで、青の残像であるクリーム色が出現させ「濃い牛乳」を消費者にイメージさせるのも同じ原理。

本題の「デザイナーの汚い色使い」の理由と解決策は、デザイン室の壁色が手術着と同じうぐいす色であるために長時間デザイン室で働くデザイナーの目が補色残像の悪影響を受けてしまっていること。これを解決するには、デザイン室の壁色を補色残像の影響を受けにくい「白」に変更すること、また働き過ぎたデザイナーをゆっくり休ませてあげることも大切。